【レビュー】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

会社の先輩が大絶賛していたので、借りて読ませてもらいました。
どうせなら一気に読み込んでやろうと決めて土日で読んだら2日間でたっぷり5時間くらいかかってしまいました汗。
本読むの苦手だなあ。


とは言え一気通貫で読み進めたこの作品、すごく読みやすくてわかりやすかったです。
僕みたいなあまり普段から難しい本を読みなれていない人間にとって、一番難しいのは、

本で学んだ命題や法則を自分の環境に当てはめて、自分のアウトプットとして生かすこと。



その点、この本ではまさにその自分自身のような女子マネージャーが主人公となってドラッカーを読み進め、自分の環境に応用していくので、とても共感が得られました。
まあ小説だからいいように進んで当たり前ですが、彼女はちゃんと気づくべきタイミング、決断を下すタイミングできちんとドラッカーの思考に返り、実践している「真摯さ」がそれこそ非常に尊敬に値すると感じました。


僕みたいな自己流大好き人間にとって、何かを学んで実践の場で活用すると、それが成功したときにすぐ自分のオリジナルであったように錯覚してしまい、またその本に戻ろうとすることは考えもしません。
そうやっていつでも「基本に帰る姿勢」を持ち続けるっていうのは簡単にできそうですが、特に僕にとっては最難関事項です。
せっかくこういう気持ちが芽生えて、しかもそれをこうやって文字に残しているんだから、これからの仕事や生活の姿勢に反映させて行きたいと思います。



さて、この作品自体は先に書いた通りすごく読みやすく、思わずサンマルクで涙ぐむ一面を晒してしまいそうになるような感動もあったりで小説としてすごく面白かったです。
別にビジネス書に分類しなくてもいいんじゃないかと思うような内容です。
ただ、本文中にはドラッカーの引用がすごくたくさんされていて、みなみが経営学の考え方をいかに野球部の活動に応用していくかという解釈の転換の様子がわかりやすく書かれているので、自分自身の仕事に置き換える時の好事例となりました。


特に今の代理店営業という職種においては以下のような点で応用の可能性があります。
  1. 組織をチーム化すること
  2. チームの中に項目別の担当者を作り、全権を委任すること
  3. 日々の実績や取り組みをデータ化し、本人にマメにフィードバックすること
これは本来であればショップの店長がやるべきことかもしれませんが、外からショップの運営状況を見ることが出来る自分なら、良い意味で客観的に分析ができるんじゃないかと感じました。


また、この作品の中では問題にぶつかった時にそれを解決するための思考があった上でチーム編成をしたり自己目標を立てたりということをしていましたが、これは現在多くの会社で行われているであろう組織編成とほぼほぼイコールだと思います。
ただここで問題なのは、

もうすでに体制が出来上がっていて、中にいるメンバーはその意味や効果を理解した上で活動しているのかがわからない

ということ。
ただ業務として当てはめられたチームに入り、個人の負担を振り分けるために担当を割って業務を分散するようなことになっていたら、それは非生産的だなあと感じています。
メンバーを割り振る時に、「期待すること」「チームが目指すもの」「組織の目標」をきちんと言葉にして共有しないと、各人が好き好きに勝手な解釈をしてしまいます。
それって一見するとすごく統制の取れた組織ができているように見えるけれど、頭の中がバラバラだから動きに矛盾や無駄がたくさん出てしまいますよね。


きっとその役目を果たすのがマネージャーなんだと思います。



今はまだプレーヤーでしかないので、自分の仕事に還元する機会はありませんが、将来自分がマネージャーになる時にはこの考え方にまた立ち返りたいと強く思います。
数年後にまた読みたい。
その時には普通にドラッカーの方を読みこなすくらいの読解力が欲しいところではありますが。